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2015年11月12日木曜日

ドイツのフラオエン・クオーテ


VW社の不祥事により、ドイツのコーポレートガバナンスが問われているが、 ドイツでは、ヨーロッパ各国に比較して女性役員が少ない点の改善が進まないとのことである。これを受けて政府が力技で対応することにした。

ドイツのコーポレートガバナンスは、監査役会と取締役会の2層になっている。ドイツの監査役会は日本の監査役会とは異なり、取締役の選任・解任などの権限を持つ。取締役会の上に位置するガバナンス機関である。これが取締役会と翻訳されることもあり混乱するが、最近は「監査役会」で定着している感がある。

ドイツでは、監査役の30%以上を女性にすることを義務付ける制度がドイツで2016年1月始まる。この対象は、2016年1月以降、従業員2000人超の上場会社約100社である。














この制度はFrauenquote(フラオエンクオーテ)と呼ばれる。女性割当制という意味。日経新聞ではフラオエンクオータとなっているが、ドイツ語は上記の綴りなので、クオーテと発音されると考えられる。クオータは英語なので、Frauenドイツ語+quota英語の組み合わせになってしまっている。検索すると下記の画像が出てくる。

2014年の上位200社の監査役会の女性比率は2割弱とのことなので、30%は射程圏内と考えられる。しかし、日本の場合は、2011年の統計であるが、上場企業3,608社の役員等計41,973名のうち女性は515名であり,その割合は1.2%である(内閣府男女共同参画局)。大規模上場会社の会社の女性比率はもう少し高いとしても、ドイツと比べても格段に低い。


2015年11月10日火曜日

TPPはこれからどうなる?

まだ大筋合意の段階である

TPPは大筋合意したと報道された。あたかもTPPが発効したかの報道ぶりである。「大筋合意」であるから、今後細部を詰める作業は残っていると理解できる。

各国の批准が必要

大筋から完全合意になっても参加各国による批准が必要となる。民主党のクリントン大統領候補はTPPには反対であると表明している。また、共和党の候補者で賛成を表明しているのは、ジェブ・ブッシュだけとのことである。しかし、ブッシュが大統領になる可能性は低い。であれば、TPPは発効しないのか?

TPPの発効条件は?

となれば、発効条件がどうなっているか気になるので調べてみた。
TPP発効の条件は、
(1)すべての参加国が署名後2年以内に議会での批准手続きを終えるか、
(2)2年以内に参加国すべてが手続きを終了できなかった場合、TPP全体のGDP=国内総生産の85%以上を占める少なくとも6か国が批准手続きを終えると、発効する

上記(1)の可能性は低いと考えると、(2)のGDPの85%が引っかかる。
交渉参加12カ国の国内総生産(GDP)のうち日米で8割を占める、とのことである。
日本が25%、アメリカが55%とすると、この両国のどちらかが賛成しない場合には、発効しない。

成立の可能性は?

せっかく、時間と労力をかけて「大筋合意」したTPPは、アメリカの反対で反故にされることになる。可能性としては、次の2つ。
(1)オバマ大統領が2017年1月の任期切れまでに何とか議会にTPPを批准させる。
(2)次の大統領の気が変わり、批准に持っていく。

日本の国会での批准も一筋縄ではいかないかもしれない。
(1)自民党が来年7月の参議院選挙(場合によっては衆参同時選挙)で敗れる
(2)そうでない場合でも、自民党の反対派が党の方針に反してTPPに反対する。
日本の国会は、アメリカほどハードルが高い感じはしないが、前途多難であることは確かである。


2015年11月9日月曜日

フランスのフロランジュ法

今、フランス政府がルノーを支配しようとしていると話題になっています。

フランスのフロランジュ法というのがあります。2年間以上株主を続けると議決権が2倍になるという法律です。株主総会の3分の2以上の議決で2倍にならないようにはできますが、この決議をして定款に1株1議決権であることを明記しないと2年で2倍になります。

変な法律のように見えますが、そうとも言えません。短期で売買する株主の言うことより、長期に株式を所有して会社の企業価値の維持向上を期待する株主の発言権を強化しようということです。ガバナンスの議論の中でこうゆう考え方は以前からありました。

しかし、フランス政府の意図はフランスにおける雇用の確保を優先する目的のようです。フランスでは大手企業の株式を政府が所有しています。ルノーもその一つです。ルノーがリストラをしてフランス人が失業することに反対するために議決権2倍を利用しようとしていると報道されています。これに対してルノーと日産が対抗策を検討しているというのが最近話題になっているのです。


ルノーの時価総額は3.5兆円で、日産の時価総額が5.7兆円です。日本郵政グループのように、親会社の時価総額が子会社より小さい会社です。

このように、親会社と子会社が共に上場しており、子会社の時価総額の方が大きい場合には、親会社が買収されたり、親会社の大株主の意向が子会社にまで及んだりすることがあり、経営不安定の要因になってしまいます。日本郵政の政府持株が今後さらに売り出されると、このようなリスクにさらされることになります。