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2017年4月23日日曜日

社外取締役に業績連動報酬を支払うべきか

社外取締役は、取締役会でのモニタリングが仕事です。このため、そのパフォーマンスによって評価し報酬決定すべきです。社外取締役については、業績連動報酬をどうするかが課題になります。

「社外取締役が貢献したから会社の業績が良くなった」と言えることもあるかもしれません。実際に業務執行するのは社内取締役ですが、彼らを叱咤激励し、儲かる分野への進出を勧め、場合によっては経営者の交代を求めることにより、会社の業績が良くなります。

社外取締役は、株主の代表と考えれば、これらは株主から社外取締役に求められる仕事であり、それが成功したら多めの報酬を社外取締役がもらったしても、株主から文句ができることはないでしょう。

一方で、会社のガバナンスは、株主のためだけに行うものではなく、多様なステークホルダーの利害調整もガバナンスの役割です。このように考えると、社外取締役が株主だけに目を向けて、業績向上だけを経営者に求めることが良いとは限りません。

社外取締役が、短期的な業績ではなく、中長期的な企業成長を経営者に求めることは、多様なステークホルダーが求める方向性には合致します。ただ、中長期的な企業成長といっても、その中身は色々ですので、多様なステークホルダーの利害調整という観点からは、社外取締役に業績連動報酬というニンジンをぶら下げることには、よろしくないということになると思います。

一部の会社について下記の通り調べてみました。

日本板硝子
社外取締役はその職務遂行に対する報酬を受領します。社外取締役は業績連動報酬や長期インセンティブ報酬の受給資格を持ちません。

資生堂
業務執行から独立した立場にある社外取締役および監査役には、業績連動報酬等の変動報酬は相応しくないため、基本報酬のみの支給としています。

キリンホールディングス
客観的な立場から経営や業務執行の監督機能を担う役割であることから、「基本報酬」のみとする。

上記のどの会社も、社外取締役には業績連動報酬は支払わない方針です。ただし、キリンは社外取締役に賞与を支給しています。賞与は業績連動報酬とは違うというということなのかもしれません。賞与と業績連動報酬の違いについては、また別の機会に検討したいと思います。

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